kojiの世界 漫画『ポーの一族 春の夢』 ネタバレと感想
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漫画『ポーの一族 春の夢』 ネタバレと感想



この前漫画喫茶に行ったので読んじゃった。感想を一言で言うならばつまらなかった。
以下ネタバレと感想を書いていくので注意。伏字にもしません。

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裏表紙に「バンパネラの核心に迫る意欲作!」みたいなことが書かれていたが、今巻ではあまり深く掘り下げられなかった。
以下、今巻で語られた部分を記載する。

ポーの村は大老ポーが創った

今巻で登場したバンパネラである「クロエ」とエドガー(彼が言及していたかうろ覚え)によって以下のように語られた。
クロエが老ハンナによって一族に加わった(9世紀頃)後に大老ポーが作った村である。隠された出入口はレイラインの交差点にあり、1年中バラが咲き誇る。村人はバラの世話をする以外はほとんど眠っている。村では常に若い人間を1人「飼って」おり、その人間の血を順に吸って「新しい血」を取り入れるが、その人間は約1年で死んでしまうため、年に一度どこかから(その人間には真実を告げず)連れてくる。

とのことだが、バラの世話に加え、エサ(人間)の仕入れと飼育する時も起きている。また、グレンスミスが紛れ込んだ時のような「想定外のトラブル」時にも人間のように生活をしていたことから、ポーの村に住むバンパネラにとって、長時間の睡眠は必要不可欠なものではないと判断できる。
ではなぜ彼らは長時間の睡眠を取るのか。それは「何もすることがないから」だと思われる。永遠の命など、決していいものではないという、この作品のコンセプトでもある「永遠の命の悲劇」を改めて表現するための描写なのではなかろうか。
ただ、正直なところ「ポーの村は大老ポーが創ったんだよ」と言われても「だから何?」って感想だった。もしかして、ポーの村は、大老ポーが一族を管理するために創ったのではないか。睡眠させたほうが管理しやすいだろうし。というのは邪推だろうか。

ポーツネル一家が村を出た理由は「メリーベルがエサを逃がしたから」

先述した様に、ポーの村では年に一度、エサとなる人間を仕入れる。クロエは以下の様に語る。
ある時、ケイなんとかという人間(名前忘れた、クロエではなくオレが)がエサとして連れてこられた。彼女は「村でメイドとして働ける」と嘯かれ、喜んで村を訪れたが、その村がバンパネラの住む村だと気付き、何度も脱走を図った。その際幾度もメリーベルに助けを求め、メリーベルは彼女に協力して彼女を村から逃がしてあげた。その罪を償うため、ポーツネル一家は村を追われた。

お気付きだろうか。つまり、ポーの一族の『ポーの一族(サブタイトル)』では、ポーツネル一家は「人間のエサを求めて自ら村を出た」ような雰囲気であったが、真実は「罪を贖うために村を追い出された」ということだったのだ。『ポーの一族(サブタイトル)』で別れを惜しんでいたポーの村のバンパネラたち、そしてポーツネル一家の想いがまた違って見える。
メリーベルの優しさとポーツネル一家の悲劇を色濃くしたエピソードであるが、オレは「後付け設定にもほどがある」と感じてしまう。

気(エナジー)という概念が存在する

今巻で気(エナジー)という概念が追加された。アランの身体が弱いのはこの気が身体から漏れやすいからだと語られており、「一族の儀式を無視してアランを一族に加えた代償として交わされた契約」で「エドガーに内包されている大老ポーの気を他のバンパネラに分け与える」ということから、気は同族を増やす際に分け与えられる血と同価値の概念であることが窺える。
また、劇中でエドガーがクロエの気を吸って老いさらばえさせたり、大老ポーがクロエの気を吸い取って干からびさせたり、ファルカ(後述する)がアランから漏れ出た分の気を塞いだり(分け与えたり?)している様子から、バンパネラはこの気をある程度自由に行使することができるようだ。ただ、アランの状態を見てファルカが「なぜ自分で治してやらないんだ」という問いに対してエドガーは「自信がない」と答えていることから、得手不得手もあることが窺える。また、大老ポーの気は特別なもので、これを吸うと身体が若返る。

メリーベルの儚さは血によって表現されていた。先程も述べたケイなんとかを逃がした件から、メリーベルは人の血を吸うことは好きではないのだろう。だが、生きていくためには兄であるエドガーの血を貰わなくてはならない…。そんな葛藤が、彼女の儚さを一層際立たせていたのだが、ここへ来て新たな概念を追加するとは。今後、メリーベルも実は血ではなく気が足りなくて…という設定になるかもしれない。
さらに、実はこの気があるからバンパネラは不老不死で…なんて説明された日にはもう理解が追い付かない。じゃあ、ポーツネル夫妻も、メリーベルも、全てのバンパネラは大老ポーの気を吸い取って若さを保っていたの?大老ポーは行方不明なのに?
これまでの設定が無茶苦茶になるので、それだけは避けて欲しいものである。

ポー以外の一族が存在し、別の一族も大老ポーが管理している

ポーの一族というタイトルからも想像できる通り、吸血鬼には大老ポーを長とする者たち以外にも、幾つかの部族がある。今巻ではルチオ一族が登場し、さらにはまた別の一族と推察されるファルカが登場した。興味深いのは、ファルカは自らをバンパネラではなくヴァンピールと名乗っていること、ルチア一族はバンパネラともヴァンピールとも名乗っていないこと。今後、バンパネラとヴァンピールの違いや部族ごとの違いなど、より詳しい部分への言及があるかもしれない。
そして、大老ポーがルチア族のサルヴァトールに下知していたように、幾つかの部族は大老ポーによって管理されていることが判明した。

老ハンナの意思を受け継いでエドガーを一族に加えたり、ベス(人間)の願いを聞き入れて(?)ダン(ベスの息子)をバンパネラにしたり、エドガーを襲うクロエの気を搾り取ったり…大老ポーはバンパネラの調整役のようなものなのだろうか。

以上がバンパネラに関しての言及であった。なんか忘れている可能性もあるが、オレがもう一度『春の夢』読む可能性は低いと思われる。もし『春の夢』を読むなら過去のシリーズを読み返すと思う。

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ここからは『春の夢』の要約と感想。

-要約-

1944年1月、ロンドンで被災してウェールズ地方アングルシー島の「赤い家」にやって来たエドガーとアランは、ドイツから来たユダヤ人の少女・ブランカと弟のノアに出会う。2人はナチスによる迫害を逃れて、母の姉の夫であるダン・オットマーのもとに身を寄せていた。レコードのシューベルトの曲につられてノアが「赤い家」に飛び込んで来たことが縁で、エドガーとブランカたちは親しくなる。一方、体調がすぐれず眠ってばかりいるアランのために、1925年のパリ万博で出会った吸血鬼(ヴァンピール)・ファルカを呼びよせる。紅ルーシ出身のファルカは気が漏れ出すのを塞ぐ能力を持っているのである。

ある日、エドガーの元に手紙が届き、回復したアランをファルカに預けてチェスターのサンタルチア・ホテルを訪れる。待ち受けていたのは「ポーの村」からの使者であるクロエとシルバー、ゴールドで、大老ポーの直系の血を受けたエドガーが1年に1度一族の者に気を与える代わりに、一族の承認と儀式を受けずにエドガーがバンパネラにしてしまったアランには手出しをしないという契約を結んでいた。チェスターから戻ってきたエドガーは、ファルカのもう一つの能力、目やスキマ(彼曰く「空気の滝のようなもの」)を通り抜けて行きたい場所に行けることを教わる。彼は人間時代、地方領主だったが戦に負けて妻子を失った後、ある男に一族に加えられたのである。

一方、ダンの妻のザブリナが、軍の仕事から一時休暇を取って帰ってきた。ザブリナはドーバーの孤児院で友人の息子のアダムを見つけて連れてきていた。その夜、ザブリナは義母のベスからオットマー家の男たちの「眠れない病気」のことを聞かされる。オットマー家の男たちは代々43、44歳で発病し、眠れずに消耗して45、46歳で死んでしまうとのことで、ダンも既に重体であった。ベスは、22年前に夫が亡くなる前に不思議な男が訪れ、「もし望むなら生き返ることもできるが、人間にはもどれない」と言われるが、追い返した。その男は3月の終わり頃にもべスを訪れ、彼女は「望みます」と答えてしまった。ベスがザブリナに「眠れない病気」と不思議な男の話をした翌日、連合軍によるノルマンディー上陸作戦が始まり、皆が戦争の終結の希望に湧く中、ザブリナは軍に戻る。

8月25日、ファルカが訪れ、ド・ゴール将軍がパリ解放宣言を行ったと告げる。明日、シャンゼリゼ通りで戦勝パレードがあると聞いてアランは行きたがったが、エドガーはまだ危険だからと反対する。ファルカは、人間だった頃に失った子供の代わりが欲しくて何人もの子供を仲間に引き入れたが、わがままを許して不用心を招いた結果、長生きした子供はいなかった。ファルカが子供を育てられないことを見抜いていたエドガーは彼を追い返す。

その夜、クロエが契約を無視してもっと若返りたいと、アランを人質にしてエドガーの気を要求してきた。そこへ大老ポーが現れて、クロエが干からびるまで気を吸い取る。大老ポーは、クロエを棺に入れてポーの村の地下に閉じ込めるようにシルバーに指示し、クロエの代わりにポーの村を統治するよう命じる。一方、ダンが亡くなり、通夜に再び不思議な男サルヴァトーレが大老ポーと連れ立ってベスの前に現れる。サルヴァトーレは200年ほど前のオットマー家の先祖で、ダンはまだ死んでおらず深く眠っている、そしてこれから目覚めて永劫の時間を生きることになると告げる。そこへ弔問に訪れたエドガーに大老ポーは、オットマー家はギリシャ系の別の不死の一族、ルチオで、長く流離(さすら)う一族同士、何百年後のことも考えて助け合う必要がありここを管理していること、ルチオ一族は基本、男しかいないこと、サンタルチア・ホテルもオットマー家の所有であること、ダンは地下の霊廟に納められて5日後には目を覚ます、そこまでが自分の管理であることを語る。

翌朝、エドガーが「赤い家」に泊まり込んでいたブランカたちをダンの葬式に送る途中、ノアとアダムが突然の濁流に流されてしまう。アダムは救助できたがノアは見つからない。呆然自失のブランカが川へ入って行こうとしたところをオットマー家の運転手アシュトンが助けるが、ブランカに愛情を抱いていたアシュトンは突然、彼女に襲いかかる。駆け付けたエドガーにアシュトンは、ブランカが塔の中の穴に落ちたと言ってその穴に閉じ込めてしまう。ブランカは塔の中に逃げ込むが、アシュトンに追いつかれ襲いかかられる。ブランカの悲鳴に反応したエドガーは、なぜか発現した「目」を通り抜けてアシュトンの手首をつかみ気を吸い取って階段から突き落とす。その姿を見たブランカは恐ろしさのあまり黒髪が一瞬で白髪になり、塔の窓から落ちた。エドガーは瀕死のブランカを抱いて「赤い家」に戻るが、助からないと知りファルカを呼んで仲間に入れるように頼む。

そこへやシルバーが現れ、クロエがゴールドの血を絞り出して村中の「永遠のバラ」を吸いつくしたうえ、ポーの村の入り口があるレイラインの交差点でレイライン研究者の女性を殺して逃げ、さらにエドガーの血を欲してここに来るかもしれないと告げる。ファルカはトラブルに巻き込まれないよう、ブランカを「オレの花嫁… 大切にするよ」と言ってパリの館に連れていく。その頃、目覚めたダンはベスにベニスに行くと告げてサルヴァトーレとともに去っていく。その翌日、ノアが河口の近くの漁師の家で生きて見つかったが、アシュトンの死体が見つかりブランカも行方不明なため大騒ぎになる中、エドガーとアランはファルカたちを追ってパリへと向かう。

数年後、大学生になったノアとアダムは夏休みの間だけ「赤い家」を借りて過ごす。そんなノアをファルカに連れられたブランカが林の間から見つめて涙を流す。

-感想-

絵柄が変わったのが非常に残念

まぁ40年も経っているので仕方ないっちゃ仕方ないんだが。これはエドガーじゃない、これはアランじゃない、これはメリーベルじゃない。過去の絵柄のエドガー達がすごく好きだったんだなと再認識させられた。

物語に魅力を感じない

なんか、長くね?これまでのようにもう少し短くして一つずつ描いていけばよかったんじゃないかな。まぁ、今回でバーっと伏線撒いて次から短編で回収していくのかもしれんが。『ファルカ編』、『ルチオ編』みたいな感じで分けてもよかったんじゃないかな。
『グレンスミスの日記』とか『すきとおた銀の髪』とか『リデル・森の中』とか短くても魅力的な物語があったのに。
ただ、今回の物語に魅力を感じないことも、絵柄が変わっていることに起因する部分も多いかもしれない。

そんな中、最後の数シーンでノアとアダムがエドガーとアラン、ブランカたちバンパネラに想いを馳せるところはポーの一族らしくてよかった。「人間の短い命の儚さ」と「吸血鬼の永遠の命の儚さ」の両方が描写され、エドガーたちはこうして伝説の存在になっていく…という余韻がまた堪らなく好きなので、ここを守ってくれたのはすごい嬉しかった。

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まぁ、なんだかんだ言って、ポーの一族は好きな作品の1つと言えるので次回作が登場したら多分読む。
クロエもファルカもブランカも生きているし、ポーの村が壊滅状態になったし、大老ポーも何やら企んでいそうだし、他の部族も登場したし。「それらの伏線を回収しながらファルカやクロエやメリーベルに助けてもらったケイなんとかを掘り下げる短編」と「メリーベルとエドガーの新たな思い出編」なんかやってもらえると嬉しいな。恋愛ものってあんまり好きじゃないんだけど、メリーベルの恋物語は好きなので。

新しい作品が出て、漫画喫茶行く機会があったら読みます。

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